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古典に基づく経絡治療を行う当鍼灸治療院から皆さまへ 

一般的に東洋医学と呼ばれるものは、今から約二千年前に編纂されたと言われる中国の医学書『黄帝内経』の教えに基づいています。

当治療院で行っている古典的治療法を、言葉の説明も兼ねて記したいと思います。

人体には経絡に沿って気血の流れがあり、その流れは止まることはなく、環の端無きが如く、つまり、ぐるぐると常に巡っています。

 

経絡は、主に五臓六腑(肝、心(心包)、脾、肺、腎、胆、小腸、三焦、胃、大腸、膀胱)を基にして、身体を縦に流れる14本の経脈と、それを横断する絡脈から構成されています。

 

気血は、生まれたときに両親から引き継ぐ先天のものと、食物等から摂取する後天のものとがあります。後天の気は絶えず追加されないと生き続けることはできません。

 

経絡におけるこの気血の巡りが何らかの理由で滞ることで、身体に不調が起こります。

 

不調が起こる原因は内因、外因、不内外因の3つに分類されます。

内因は七情(怒・喜・思・憂・悲・恐・驚)で、感情に関わるもの。

外因は六淫(風・寒・暑・湿・燥・火)+疫癘(感染症)で季節やウイルスなどの体の外から受けるもの。

不内外因は飲食不節、労逸、房事過多、外傷で、生活状況に関わるものです。

不調の原因を見つけ出すためには、四診法という古典的診断方法を用います。

望診 姿勢、顔色など身体の色調等からの診断。

聞診 その人の持っているにおいや、肌質、声のトーン等からの診断。

問診 自覚される症状や過去の切り傷、怪我等を含む既往歴、普段の生活状況、感情等についての会話からの診断。

切診 手で触れて行う診断。脈診、腹診を含む硬柔寒熱腫脹や陥凹左右上下差などからの診断。

これらの診断と基準と一定の指標から身体の不調の根本的な原因を見つけ、主に痛みや不調が出るところではない手足のツボに鍼や灸で施術を加えることで体全体の調整を行い気血の滞りを解消し、経絡の流れを通します。機能的にブロックしている部分もあり、器質的に流れにくい部分もあり、その人によって原因はさまざまなため、まさにオーダーメードの施術となります。

とかく、人の身体というのは消化、吸収、排泄という生きるための根本的な機能のみ(内臓)に気血が集中しがちな体質があるため、手足や頭部への気血の流れをどうしてもさぼろうとしてしまう癖があります。しかし手足に鍼灸をすることで、内臓に集中しすぎている気血を万遍なく全身に引くことができることから、内臓が伸び伸びと動き出し、固まっていた横隔膜がゆるみ、呼吸が深くなります。一呼吸で取り込める酸素の量が増えることで、手足や頭部に新鮮な栄養が巡りだし、不必要なものが静脈にとりこまれ排泄へと流れていきます。そこで、その人の持つ最大限の治癒力が導き出され、不調の場所が改善していくための基本的な体勢が整うのです。

施術後

骨盤の高さが整う、こりが取れる、痛みが軽減する、身体が温まる、可動域が広がる、姿勢がよくなる、体が軽くなる、お腹がごろごろと鳴り内臓が動き出すのを感じる、二便が整い爽快になる、顔色がよくなる、視界がはっきりとしてくる、耳の聞こえがよくなった、階段がとんとんと降りられる、心地よい眠気がある等の変化がみられます。また身体が治癒していくために最も大事な深い睡眠がとれるように変化する人もいます。

頻度

鍼灸は体に負担がかからないように、主に手足に鍼をすることで少しづつ体全体の不均衡を正しい位置に改善させ、その時に一番省エネで身体活動が行えるような体制を作っていく施術です。一度の治療において、その時にご本人が受け入れることのできる変化を最大限とするため、主訴が完全にゼロにならないこともあります。体が自然とそこから回復に向かっていくような施術を行います。再訪をご提案することもありますが、その都度ご相談のうえ、できるだけご希望に沿った対応をいたします。

主訴が改善した後は、メンテナンスとして定期的な治療をされる方もおられます。

継続的な施術の中では、ご自身でも不調を改善出来るような体との『付き合い方』をご提案しますので、結果的に施術の回数も鍼数も減り、施術時間も短くなっていきます。たとえば治療の回数も二ヶ月~三ヶ月に一度まで伸ばしていき、なおかつその都度、不調が現れる前の未病のまま本来の体調にリセットするという流れを作っていくのが理想です。

​何かご不明な点やご相談などがありましたら、お気軽にご相談ください。

​                                   アスナ鍼灸院 中山順子

 

*掲載している漢文は、祖父母の倉庫を整理した際に、器の包として使われていたものです。こちらは、黄帝内経ではなく本草綱目の一部です。私の祖先の誰かもこのようにこつこつと古典を学んでいたのだと思うと感慨深く、掲載しました。

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